日本の都は5世紀頃から大阪、奈良、京都を中心とする関西に置かれた。以 後十数世紀間、関西は、永きにわたり、日本の政治、経済、文化の先進地 域の役割を担い続けてきた。中国、朝鮮半島からの政治・文化の波や、シ ルクロードを辿り中国にきた西域の文物、東洋のベニスとよばれ、黄金の国 ジパングと喩えられた堺の繁栄と、西洋文明の流入。これらはいずれも瀬戸 内海を通ってわが国に伝播され、関西は世界文明受容の玄関であった。そし てその歴史文化の豊かな蓄積を最大限に生かし、東西文化の交流・融合がお こなわれ、そこに創造的で多様な日本文化を開花させた。また温暖な気候と、 豊かな自然の四季折々の微妙な変化は、この地の人々の精神を涵養させ、柔 軟な思考とバイタリティを育んできた。関西は、自由で開放的な風土に、 市民自ら新しい産業を創出し、そして、産業が文化を生み出すダイナミズム を持った地域でもある。21世紀を目前にした今、太平洋の大海の渚をとも にする人々が集い、相互繁栄の絆を模索するこの時こそ、関西は、その蓄 積された叡知の限りを尽くし、「アジア太平洋との協調、そして共生」の実 現にむかって世界の人々と手を携えて歩もうとしている。


目次


APECのページヘ戻る
Responsible for the content:
All contents copyright (C) CYBER KANSAI PROJECT / All rights reserved