文化施設

関西のさまざな文化活動を支えているのが、博物館、美術館などの文化施設で ある。京都国立博物館、奈良国立博物館、京都国立近代美術館、国立国際美術 館(大阪府吹田市)、国立民族学博物館(同)などの国立の施設のほか、地方 自治体もそれぞれの地域の特色を生かした博物館や美術館を建設し、啓蒙活動 に努めている。
自治体では、大阪市の東洋陶磁美術館が、中国、朝鮮などの約1、300点の陶磁 を収蔵している。国宝、重要文化財も数多く、青磁、白磁などにみられる東ア ジアの古陶文化に触れることができる。
1,200年にわたる京都の歴史を考古資料や民俗資料だけでなく、映像などを使 って紹介し、古い映画の上映も行う京都文化博物館、国際都市・神戸の近代化 への歩みを伝える南蛮文化の資料が豊富な神戸市博物館など、ユニークな施設 も多い。 すでに多くの施設はオープンしているが、滋賀県が1996年、琵琶湖の自然、文 化を中心にした琵琶湖博物館(仮称)の開設を予定するなど、各自治体はこう した文化施設の建設によって、地域の特色をより鮮明にし、観光客の誘致をも 計っている。
また、国や自治体の博物館、美術館だけでなく、企業のオーナーがコレクショ ンを公開するためにつくったユニークな美術館も多い。逸翁美術館(大阪府池 田市)、香雪美術館(神戸市)などのように茶の湯文化から生まれた茶器類の 収集、日本・中国を中心とした東洋古美術を集めた久保惣美術館(和泉市)、 俳句と画を組み合わせて楽しむ「俳画」の世界を紹介する柿衛美術館(兵庫県 伊丹市)、古代インドから現代までの将棋に関する資料を展示している将棋博 物館(大阪市福島区)、阪神・淡路大震災で休館中ではあるが、人形・かるた・ 羽子板のコレクションで知られる滴翠美術館(芦屋市)などである。
近年になって、企業による文化活動の支援として、メセナ活動が目立ってきた。 大和文華館、竹中大工道具館、白鶴美術館、サントリー・ミュージアムなどが よく知られており、企業の歴史の紹介だけでなく、業種の変遷などを取り上げ ている。
単なる企業のPR活動にとどまらず、豊かな社会づくりへの貢献を目指したもの であり、形式も音楽ホールや美術館などの建設のほか、文化・学術賞の制定、 演劇公演や映画製作への支援など、多岐にわたっている。