
国立民族学博物館は、1974年に創設され、大阪千里の万博記念公園内の広大な
敷地の一部に開館した。この博物館は大学の共同利用研究施設という性格をも
ち、地域文化学・比較文化学専攻から成る総合研究大学院大学が併設されてい
る。
その展示は「ものとその背後にある文化のかかわりあいを示し、諸民族の多様
性を紹介する」という基本理念を具体的に表現した構成となっている。つまり、
標本を一点一点バラバラに展示するのではなく、関連あるさまざまな標本を組
み合わせた、「諸民族の生活文化を読み取る」展示方式を取っている。単体の
展示品を個別に展示するのではなく、ひとつのコーナーにまとめることにより、
標本を見せると同時に、その裏にある「文化」までをも理解できるように工夫
がこらされている。
常設展示は、地域展示と、クロス・カルチュラルとで構成されており、地域展
示は、オセアニアを出発点として、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、西アジ
ア、東南アジア(1996年まで閉鎖)、中央・北アジア、東アジアと世界一周し、
最後に日本に到着するよう配置されている。その地域分けも、国境を単位にし
たものではなく、生態学的、地理学的まとまりと文化的まとまりを基準として
いる所に特色がある。その他、民博が世界で初めて導入した自己学習装置「ビ
デオテーク」がある。