運輸交通

陸上交通では、旧国鉄の分割・民営化によって、1987年に発足したJR西日本 が関西一円の鉄道網を持っている。その路線は新幹線を含め、北陸から九州 までの計5,070Kmで、約7,000両の車両を保持する。このうち、東海道・山 陽新幹線は東京と九州を結ぶ日本の鉄道の大動脈であり、関西を中心とする在 来線はビジネス・観光客に利用されるばかりでなく、通勤・通学の貴重な足 ともなっている。
JRだけでなく、私鉄による交通網が整備されているのも関西の特徴である。 近鉄、阪急、南海、京阪、阪神の5つの大手私鉄は、計1,050Kmの営業距 離に達し、1日平均の旅客は約700万人(1994年3月)にものぼっている。それ だけに競争は激しく、サービスで乗客の獲得にしのぎをけずっている。全国 に先駆け、駅に動く歩道や自動改札機を設置したのは関西の私鉄であり、次 々と新型の車両を投入、スピードアップをはかり競争力の強化に努めている。 大阪、神戸、京都に建設された市営の地下鉄は、人々の身近な交通手段と なっている。中でも東京と並び、早くから建設された大阪の地下鉄は営業距 離100Kmに及んでいる。ニュートラムやポートライナーなどの新交通システム も大阪、神戸などの都市で積極的に導入され延伸工事も行われている。 高速道路も、名神高速道路・中国自動車道が東京と九州を結ぶ幹線道路の大 動脈として整備されているほか、阪神高速道路が大阪、神戸2市を中心に縦 横に張り巡らされ、延長距離200Km、1日の利用台数92万台の幹線道路として、 鉄道と並ぶ関西の2大輸送手段となっている。
また関西では、海上を利用した水上交通が発達しており、阪神間と淡路・四 国を結ぶ短距離の高速艇やフェリーのみならず、関西と九州、沖縄、中国 の上海を結ぶ長距離、国際航路も設けられている。また、日本海側の舞鶴 や敦賀などの港からも、北海道への長距離フェリーが出ており、夏期休暇中 の北海道周遊を楽しむ学生たちにも人気がある。
大阪湾には神戸港、大阪港はじめ10数ヵ所の港湾施設があり、世界約100ヵ 国、約400の港と結ばれ、日本の海の物流拠点として重要な役割を担っている。