医療

関西には国立循環器病センター(大阪府)、大阪府立成人病センター、国立京 都病院、神戸市立中央市民病院など、高度医療に取り組む機関があり、心臓疾 患、ガンなど、成人病の治療研究にあたっている。また専門医療を支えている もう一方の柱は、高度な医療技術を持った大学付属病院である。これらを含 めて、関西圏の医療施設の数(1992年)は、病院(患者20人以上収容施設) が1,791、一般診療所(患者19人以下収容施設)が18,250、歯科診療所が 10,798となっている。
こうした医療施設の整備の進展は、医療技術の進歩にも大きく貢献してきた。 脳死判定、生命倫理などの問題を残してはいるが、最も大きく進歩したのは、 臓器移植と体外受精の技術である。今後は、ガン、エイズ、老人性痴呆の治療 などが克服すべき課題として残っており、ガンなどで死を宣告された末期患者 をどのようにケアするかも大きな問題となってきた。
施設の整備と共に重要なのは、医師、歯科医師、看護婦など医療スタッフの 充実である。関西の医師数は46,146人、歯科医師数は13,989人(1992年)と なっている。また、高齢化の進展による要援護老人の増加により、社会福祉施 設や在宅での介護・看護を担う人材養成の必要性が高まっており、養成機関の 充実が必要とされる。
しかし、病気の治療に最も必要なのは、その早期発見と早期治療であり、予防 のための日常からの積極的な健康づくりである。各地方自治体は保健所や保健 センターを設けて、健康診断や保健指導の充実に力を注いでいる。
また、外国人に対して必要な医療情報を提供するとともに、保健・医療相談に 対応できる体制を整えることが求められている。阪神・淡路大震災から6日後 の1月23日、WHO神戸センターの設置がジュネーブのWHO執行理事会で承認され た。関西の健康に関する情報発信機能がより高まるものと期待されている。