福祉

わが国は、平均寿命世界一の長寿国であり、1994年には、全人口に占める65才 以上の人口が14%を超え、高齢社会の仲間入りした。また、若干の回復の兆し は見られるものの、1994年の合計特殊出生率(女性が一生のうちに産むと期待 される子どもの数)は、1.50と低位を示しており、本格的な少子・高齢社会を 迎えようとしている。
神戸市が高齢者、障害者などの自立と社会参加を進めるため、各種施設を総合 的・体系的に整備した総合福祉ゾーン「しあわせの村」を1989年に開村した。 少子・高齢社会を間近に控え、だれもが住み慣れた地域や家庭で安心して暮ら し続けることができる社会づくりを進めるためには、このような取り組みも含 め、福祉サービスの基盤を整備することが重要である。
高齢化の進展とともに、要介護者が増加し、家族だけで介護負担を負うのは困 難となっている。高齢化社会への対応は、社会全体で負担すべき問題であり、 このため、国は、新ゴールドプランを策定し、計画的に特別養護老人ホームや 老人保健施設等の施設整備、ホームヘルパーやデイサービス等の在宅サービス の充実に努めている。
障害者の完全参加と平等を実現するには、障害者が地域の中で自立した生活を 営めるよう環境の整備を進めることが重要であり、4〜7人で共同生活を行うグ ループホーム等、地域生活を支える居住の場の整備促進や障害者施設の整備を 進めるとともに、障害者の高齢化への対応を図る取り組みが行われている。大 阪府では、箕面市に1996年4月の開所を目指し、知的障害者の自立を総合的に 支援する「知的障害者自立促進センター(仮称)」の整備を進めている。
このような福祉の基盤整備を進めるに当たって最も重要となるのは、施設や在 宅サービスを担う人材の確保・養成である。その目的にそって、福祉人材セン ター事業やヘルパーの養成研修、各種修学資金の貸し付け等を積極的に行う自 治体が増えている。