水産業

関西の漁業世帯は29,680戸、漁業就労者は42,660人、漁獲量は66万9,000トン、 生産額は2,636億円(1992年)となっている。関西の漁場は、大阪湾沿岸、太 平洋・日本海沖、および湖沼、河川、ため池などの内水面に大別される。
大阪湾沿岸では、兵庫県、大阪府、徳島県がそれぞれ漁場をもって水産業を営 んでいる。大阪府には12の漁港があり、内海沿岸漁業が主として営まれている。 1992年の漁獲量は3万トン、生産額は69億円である。兵庫県では、瀬戸内海のハ マチ、ノリの養殖、明石のタイなどが有名で、61漁協、7,636人の組合員がお り、漁獲量は16万7,000トン(1992年)である。さらに徳島県の1992年の漁獲量 は66,765トン、生産額は243億円となっている。
和歌山沖の漁場について見ると、和歌山県は太平洋に面して屈曲に富んだ 599Kmの海岸線を持ち、多数の良港があり、92年の漁獲量は72,992トンで、魚 種別ではマグロ、アジ、イワシ、サバが多い。黒潮にのってやってくるカツオ やトビウオもとれる。近年は海面養殖も盛んに行なわれており、ブリ、ハマチ、 ノリ、ワカメなどを産している。また和歌山県に隣接した三重県でも水産業は 盛んで、1992年の漁獲量は関西一の24万5,446トンで全国第13位である。生産 額は996億円となっている。伊勢えび、伊勢のりが有名で、東京、大阪、名古 屋などの大都市に出荷されている。
日本海側の漁場に関しては、兵庫県には5漁協、2,736人の組合員がおり、2万3 千トンの漁獲量がある。底引き網によるもののほか、カニ類、イカ類の漁獲が主 である。京都府の漁場は、若狭湾を擁する海域と、北丹後地方の海域に大きく 分けられる。魚類は定置性、回遊性合わせて280種類にもおよび、恵まれた漁 場環境である。漁獲量は58,260トン、生産額は82億円(1992)となっている。イ ワシ、サバ、タラ、イカなどが多く、またノリ、ワカメの養殖が順調に進展し ている。福井県の漁獲量は21,920トン、生産額は136億円(1992)、魚種はイカ、 ブリ、イワシ、アジが主で、とくにブリは3,170トンと全国第5位である。また越 前海岸のカニ類は有名で、冬季の観光シーズンには観光客を集める。
内水面に関しては、日本最大の湖「琵琶湖」がある滋賀県では、水産業が県の 主要産業のひとつとなっている。琵琶湖は淡水魚の宝庫で、魚類約46種、貝類 40種、日本に産する淡水魚の大半は琵琶湖にみられる。琵琶湖を最狭部で南湖、 北湖に分けると、南湖には暖水性魚族のフナ、コイ、モロコが多く、北湖には アユ、マスなどの冷水性魚族が多い。