
遺伝子組み替え、細胞融合、バイオリアクターなどのバイオテクノロジーを使
った農産物の開発が進んでいる。たとえば小松菜とチンゲンサイをかけ合わせ
た「べんり菜」、キャベツとチンゲンサイを交配した「千宝菜」、ハクサイと
キャベツの「ハクラン」などがある。米の味に敏感な消費者向けに、複数の米
の品種でつくったハイブリッド米や、稲の細胞を突然変異させて生産性や風味
を改良したバイオ米などが登場した。
このほか民間の植物工学研究所、酒造メーカー、たばこメーカーなども米の品
種開発を進めており、事業化を企画している。
伝統的農業としては、京都府宇治市は、有名な宇治茶の産地である。生産量は
全国第5位であるが、歴史が古く、品質のよい高級茶は全国的に有名である。
宇治茶の栽培は、鎌倉時代に始まったと言われている。宇治の気候と土質が茶
の栽培に適していたことが理由とされている。室町時代には茶道が興隆し、武
士や僧侶の間で喫茶の風習が広まったため、宇治茶は幕府や藩の手厚い保護を
受け、その生産はさらに盛んになった。現在でも、日本の茶業における宇治茶
の地位は確固たるものがある。
近年都市生活者が自然の中で休養しながら、農業を体験できる自然休養村、緑
の村、自然活用村などが急増している。関西では約60ヵ所あり、これらの村で
は、体験農園、スポーツ施設、レストラン、宿泊設備などが設けられている。
大阪府下の農業公園では、イチゴ狩り、田植え、クリ拾い、稲刈りなどが体験
できる。また京都府丹後町の体験ゾーン「てんきてんき村」では、地引き網や
そば打ちなどが体験できる。
このほか神戸のフラワー・フルーツパーク、ワイン城、ハーブ園、加西のフラ
ワーセンターなど関西各地に観光農業が盛んである。和歌山県清水町の「しみ
ず」自然活用村では、指導員のもと本格的なイス、テーブルなどをつくれる木
工センターが設けられ、その他、ムシロ、ワラジなどの民芸品づくりや、和紙
すきも体験でき人気が高い。