
関西の小売業の数は1991年の調査で32万店余り、従業員数は約135万人、年間
販売額は27兆7400億円に達している。
小売業全般については、総合量販店や、ショッピング・モールの出現、無店舗
販売の伸長などの要因により、中小零細小売商の減少傾向が続いている。大阪
府内には約1100の商店街団体が組織されている。兵庫、京都を含めた関西地区
では約2500の商店街に及ぶものと推定される。商店街形成の歴史は古く、大阪
を代表する商店街には心斎橋筋商店街、天神橋筋商店街、神戸では三宮・元町
商店街、京都では新京極商店街、寺町商店街などがあげられる。
地下商店街は、水や、緑を多く取り入れ、自然の明るい雰囲気を醸し出すよう
に工夫を凝らしている。大阪ミナミの「なんばCITY」は噴水、キタの「阪急三
番街」は川をしつらえ、水の都・大阪にふさわしい、くつろぎの空間を演出し
ている。また、若者が多く集まるミナミの「虹のまち」は改装して「なんばウ
ォーク」と改名して新鮮なイメージへの転化を計っている。
一方、神戸三宮では、阪神・淡路大震災で地上の商店街に大きな被害が及ぶな
か、地下街の「さんちか」は被害もほとんどなく、従来どおり多くの神戸っ子
で賑わっている。また、京都にもJR京都駅に地下街「ポルタ」がある。
90年代以降、規制緩和や円高の進行による内外価格差の拡大を背景に、日本の
小売業の新業態としてホームセンター、アウトレットストア、ホールセールク
ラブなどがある。またディスカウンターなどが郊外の幹線道路の駐車場を囲む
ように、オープンモール形態で集結し、各店舗の相乗効果を発揮するパワーセ
ンターなどが登場してきた。
アウトレットストアの例として、「鶴見はなぽーとブロッサム」(鶴見緑地)
には大手スポーツ用品メーカーを中心に、衣料、雑貨メーカーなど約40社が出
店するメーカー直営のアウトレット店がある。店舗面積は約11,000m2で、有名
ブランド企業が多数出店していることや、希望小売価格の30〜70%引きの低価
格などによって、連日賑わいをみせている。
またKOU’S(神戸ポートアイランド、大阪南港)は、日用品を継続的に安
く提供するわが国初の本格的会員制ホールセールクラブで、日用品約5,000品
目を品揃えしている。店内は倉庫タイプで、商品は台車にのせたまま大量陳列
されており、販売価格に転化される設備費、什器費、人件費等を徹底的に削減
している。