
国際会議の開催件数で、1992年は国内4位だった大阪市が93年に引き続き、94
年度も2位の座を確保、関西空港開港を機に大型コンベンションが関西に集中
しつつある。
大阪では「花の万博」以来のホテル建設ラッシュが始まっている。日本のホテ
ル業界では、まず1964年開催の東京オリンピックを前に、来日する外国人の増
加に対応するため第1次建設ブームが起きた。第2次ブームは、1970年の大阪
万博がきっかけで、高度経済成長の中、旅行の大衆化も相まってホテル建設ラ
ッシュが引き続いた。宿泊客も、それまで日本の宿泊産業の中心だった伝統的
な旅館から、利便性のよいホテルに移行する傾向になってきた。
年間1,000万人が宿泊する国内最大の観光都市、京都も「ホテル戦争」に突入
している。95年には新築、改築合わせて3ホテルがオープンし、京都のホテル
客室数は、一気に10%増となった。
京都市には、内外の政財界人、文化人らが愛好する高級旅館がある一方、国内
各地から集まる修学旅行生を泊める大型旅館や、円高で旅費の節約を迫られる
若い外国人旅行者に人気の簡素な宿まで実にバラエティ豊かな宿泊施設がある。
都市部のホテル、旅館とは別に、観光客を対象とするリゾート地の宿泊施設も、
変遷を重ねてきた。
古代から開けた関西の温泉地には、古くから伝統的な日本家屋の旅館が立ち並
んでいた。しかし1960年代頃から旅行ブームの中、旅館の高層ビル化が進み、
また新規参入のリゾートホテル等の建設に伴い、かっての落着いた情緒を失く
しかけた全国の観光地も多い。しかし、兵庫県の城崎、和歌山県白浜町、神戸
市有馬、福井県芦原など関西の温泉地や門前町伊勢には、古い情緒を大切にす
る日本旅館が依然として健在である。