■大坂城の築城

戦国の世は、1568年、織田信長によって統一され、信長はその8年後、近江国 に安土城(滋賀県)を築いた。5層7重の天守閣を持っていたと伝えられており、 中世の城である山城から近世的な平城に移る初めての城郭建築だが、信長が本 能寺の変で滅ぼされた後、戦火に焼かれる。建物は現存していないものの、豪 壮な石垣は往時をしのばせる。

信長に続いて、天下を統一したのは豊臣秀吉だった。秀吉の居城として、1583 年に日本で最大の信徒をかかえる浄土真宗の本山、石山本願寺跡(大阪府)付 近の地に築き始めたのが大坂城である。勢力を誇示するため、完成まで3年以 上をかけ、周囲12.7km、総面積3.3km2以上にもおよぶ大城郭であった。

築城と同時に城下の町づくりも積極的に進められ、現在の大阪の基盤が形成さ れた。堺などから町人が移住し、商業が盛んになり、大坂の町は発展し、後に は大坂から多くの豪商が生まれた。