■中世のあけぼの

平安時代後半から、地方で勢力を持った武士が、摂政、関白に代わる政治の中 心、上皇、法皇に接近し、中央でも力を伸ばした。源氏、平氏という二つの勢 力だ。

貴族に代わって最初に権力を握ったのは平氏だった。保元・平治の乱で勝利し た平清盛は、平氏政権を樹立し、安徳天皇を奉じて、1180年に福原(神戸)に 遷都する。しかし、関東での源頼朝の挙兵などもあり、新都の造営は未完成の まま「幻の都」に終わった。それでも、清盛は中国・宋との貿易に着目し、港 を抱えた福原で都の造営を計画しており、国際都市・神戸の源流ともいえる。

清盛の死後、源氏の勢力が強くなり、平氏は安徳天皇とともに西国に逃れたも のの、壇の浦の合戦などで滅ぼされる。平氏滅亡の物語は「平家物語」によっ て、長く語り継がれている。そして、1192年、源頼朝は征夷大将軍になって鎌 倉幕府(神奈川県鎌倉市)をつくり、貴族の世だった平安時代は終焉、武士の 世、中世に移っていく。