前進のためのパートナー
(Partners for Progress:PFP)
−APECにおける経済・技術協力のための新メカニズム−


 PFPは、APECにおける経済・技術協力を一層効果的に推進するための日本の提案である。PFPは昨年11月の ジャカルタ閣僚会議において河野外務大臣が提案し、その後高級事務レベルにおいて討議が続けられてきたが、10月の 東京SOMにおいて採択された。右を受け、PFPは大阪閣僚会議で採択される見通しであり、今後APECメンバーが PFPスキームを活用し、協力プロジェクトを形成していくこととなる。
 現在、我が国は貿易・投資の自由化・円滑化に資するPFPプロジェクトを早期に3件開始することを検討中である。

  1. PFPの目的
    PFPは、相互支援及び自主性の原則の下で、APECにおける経済・技術協力を一層効果的に推進することを 目的としたメカニズムである。
  2. 背景
    1. 昨年の非公式首脳会議で採択されたボゴール宣言の三本柱は、@貿易・投資の 自由化、A貿易・投資の円滑化、B経済・技術協力であり、APECメンバーはこれらすべての面で、大阪で採択される行動指針に沿って同宣言の具体化のために努力していく必要がある。
    2. ボゴール宣言三本目の柱の経済・技術協力は概念的に次の二つに分けることが できる。
      1. 貿易・投資の自由化・円滑化を直接支援する協力(行動指針第一部関連)
      2. メンバーの持続可能な成長を確保し、経済格差を縮小するための協力(行動指針第二部関連。 なお、このような協力は貿易・投資の活性化にもつながるものである)
    3. APECにおける経済・技術協力は、これまでにも多くの分野で推し進められ てきたが、行動指針の作成を契機として今後更に前進を図る必要がある。PFPはこのようなAPECにおける経済・ 技術協力を一層効果的に推進するためのメカニズムである。なお、貿易・投資の自由化・円滑化の必要性の緊急性に鑑み、 PFPは当面こうした自由化・円滑化のための努力を直接支援する協力[(2)@]に焦点を当てることとする。
  3. PFPガイドライン
    PFPプロジェクトは、次のガイドラインに沿って実施される。
    1. 対象分野
       APECで取り上げられるすべての分野。
    2. 相互支援と自主性
       PFPは相互支援と自主性の原則に基づく。PFPプロジェクトへの参加はAPECメンバーの自由意思に依り、参加メンバーはお互いにパートナーとして協力しあう。そのため、メンバーはプロジェクトから利益を得ると同時に、プロジェクトのために可能な範囲内でそれぞれ協力する(「持ち寄り」)。メンバーの貢献は、資金提供にとどまらず、施設提供、講師派遣等いろいろな形をとることができる。また、実施に当たっては公的資金に加えて民間分野からの貢献も受け入れることとする。
    3. イニシエーター(initiator)
       PFPプロジェクトの実施に当たっては3以上のメンバーの参加を原則とし、実施担当メンバーが全体を統括し推進する一義的責任を持つ。メンバーは自由意思によりイニシエーターとなる。
    4. 既存のAPEC組織の活用
       既存のAPEC組織を最大限活用し、新たな委員会等の設立は行わない。
  4. 手続き
    PFPプロジェクトは、上記のイニシエーターたるAPECメンバーによって適当なワーキング・グループ(WG)ないし委員会に提案され、このWGないし委員会及びSOMの承認を得て実施される。
  5. PFPプロジェクト
     大阪閣僚会議で採択された後、各APECメンバーがPFPのメカニズムを活用し、APECにおける経済・技術協力の推進に取り組むことが期待される。  我が国としては、(1)基準・認証、(2)工業所有権、(3)競争政策の3分野で、それぞれ人材育成のためのプロジェクトをイニシエーターとして提案する予定である(プロジェクト概要別添)。 これまでのところ、他のAPECメンバーもPFPプロジェクトを提案することに関心を有しており、また、上記のプロジェクトを我が国と共同で提案することを積極的に検討しているAPECメンバーもいる。
(了)
別添:PFPに関する経緯、PFPプロジェクト案


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